01-11 『親のやり方をすぐに変えないことは、孝である』
現代語訳
お師匠様が言われました。「お父様が存命中は、その子供の志を観察して、お父様の死後では、その子供のその行動を観察して、(亡くなられてから、三年間喪に服す期間があるために、)三年間(※)、お父様のやり方を改めないことは、孝順であると評価できます。」
注記・解説
儒学における「三年の喪」は、父母が亡くなった際に、子が三年間喪に服すという極めて厳格な礼節です。日本においても三年の喪が参考にされていましたが、三年もの長い期間、喪に服すのでは困るということで、ほとんど実行されることはありませんでした。江戸時代に儒学が注目された際にも、三年の喪が長すぎるとされ、法制定で十三ヶ月に縮めらたとされています。現代日本での喪中期間も、江戸時代の法が目安にされていて、一般的に一年または十三ヶ月とされています。
現代への応用(☑表示)
この章は、親の意思や価値観をどのように受け継ぐべきかを示しています。「お父様が存命中は、その子供の志を観察して、お父様の死後では、その子供のその行動を観察して」とあるように、人は制約があるときには志に本心が表れ、自由になったときには行動に本質が現れるものと考えられます。このため、親の死後の行動こそが、その人の本当の姿を示すとされます。また、「三年間、お父様のやり方を改めないことは、孝順であると評価できます」とありますが、これは単に形式的にやり方を守ることを意味しているのではありません。重要なのは、親の考えや意図を十分に理解しないまま、安易に変えてしまわないことと考えられます。現代においては、家業の継承や家庭の習慣、あるいは組織の引き継ぎなどにおいて同じ問題が生じます。前任者のやり方をすぐに否定して変えてしまうと、その背景にあった考えや工夫を見落としてしまう可能性があります。一方で、時代に合わせた改善が必要な場合もあります。そのため、この章の教えは「変えるな」ということではなく、「まず理解し、その上で判断せよ」という姿勢を求めていると考えるべきではないでしょうか。このように、過去を尊重しながらも、それを正しく理解した上で未来へとつなげていくことが、本当の意味での孝と言えるのではないでしょうか。
原文・書き下し文(☑表示)
| 子曰。 | 子曰く。 |
| 父在觀其志、 | 父在せば其の志を観、 |
| 父沒觀其行。 | 父没すれば其の行を観る。 |
| 三年無改於父之道、 | 三年父の道を改むること無きは、 |
| 可謂孝矣。 | 孝と謂う可し。 |
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