儒学のすすめ
論語 現代語訳大全

01-12 『調和は大切だが、礼による節度がなければ成り立たない』

現代語訳

有若ゆうじゃく:)有子ゆうしが言われました。「礼の役割とは、調和を最も大切にすることにあります。昔の聖王の道も、この調和を美徳としていました。小事も大事も、この調和に従えばよいというわけではなく、うまくいかない場合もあります。調和の大切さを知っていても、礼によってそれを節度づけなければ、物事は成り立ちません。」
登場人物
  • 有若ゆうじゃく孔子こうしの弟子。字は有子ゆうし

現代への応用(☑表示)

この章は、「調和」と「原則」のバランスの重要性を示しています。

「礼の役割とは、調和を最も大切にすることにあります」とあるように、人間関係や社会において調和を保つことは非常に重要であると示されています。現代でも、対立を避け、円滑な関係を築くことは大きな価値を持つと考えられます。

しかし、「小事も大事も、この調和に従えばよいというわけではなく、うまくいかない場合もあります」とあるように、何でもかんでも調和を優先すればよいわけではありません。場の空気に合わせるだけでは、かえって問題を悪化させることもあります。

さらに、「調和の大切さを知っていても、礼によってそれを節度づけなければ、物事は成り立ちません」とあるように、調和には基準が必要であると示されています。その基準となるのが「礼」、すなわち守るべきルールや原則です。

現代社会で言えば、「刑法や民法などの法律」、「契約」、「税制や労働ルールなどの社会制度」が、社会全体の基本ルールになります。これに加えて組織や職場のルール、「会社の倫理規定」、「業務プロセス」、「報告・連絡・相談」、「不正防止ルール」なども特に重要になります。更に礼には、単なる制度だけではなく、「約束を守る」「嘘をつかない」「相手を尊重する」などの人間関係のルールも含まれます。

現代社会では、「空気を読む」ことが重視される一方で、本来守るべき原則が軽視される場面も少なくありません。しかし、原則を無視した調和は一時的にうまくいっているように見えても、長続きしないものと考えられます。

この章は、単なる調和ではなく、「原則に基づいた調和」を目指すことの重要性を教えています。

原文・書き下し文(☑表示)

有子曰。有子ゆうしいわく。
禮之用、和爲貴。れいようは、たっとしとす。
先王之道斯爲美。先王せんおうみちこれす。
小大由之、小大しょうだいこれるも、
有所不行。おこなわれざるところり。
知和而和、りてするも、
不以禮節之。れいもっこれせっせざれば、
亦不可行也。おこなからざるなり。
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