儒学のすすめ
論語 現代語訳大全

03-15 『礼は実践の中で確認しながら身につく』

現代語訳

お師匠様が、の聖人・周公旦しゅうこうたんがお祀りされている大廟たいびょう(※)へ入られたとき、礼について事ごとに質問されていました。

その様子を見ていたある人が言われました。「鄹人すうじん(※)の子供が礼を知っていると言えるでしょうか?大廟たいびょうへ入られてから、事ごとに質問しているではないですか。」

お師匠様が、これを聞いて言われました。「このように丁寧に確認しながら進めていくこと、これが礼です。」
補注
  • 大廟たいびょう … 霊を祀る建物のこと。
  • 鄹人すうじんすうにあった町の呼称。鄹人すうじんはその町の人々の呼称。

現代への応用(☑表示)

現代社会では、知識や経験がある人ほど、「自分は分かっている」という前提で物事を進めてしまうことがあるものではないでしょうか。しかし、そのような姿勢は、ときに思い込みや見落としを生み、かえって誤りの原因となることも少なくありません。

例えば、仕事に慣れている人ほど確認を省略しがちですが、そのわずかな油断が大きなミスにつながることがあります。一方で、本当に信頼される人は、たとえ経験があっても基本を軽視せず、必要な場面では丁寧に確認を重ねながら進めていくものではないでしょうか。その姿勢は慎重であると同時に、周囲に対する敬意の表れでもあると考えられます。

孔子がここで示しているのは、「知らないから問う」のではなく、「正しく行うために問う」という態度です。それは無知の表れではなく、むしろ物事に真摯に向き合う姿勢そのものです。

現代においても、知識や経験に頼りきるのではなく、状況に応じて確認し直す柔軟さを持つことが重要だと示されています。分かっているつもりで進めるのではなく、常に確かめながら行動することで、より正確で信頼される結果につながっていくものと考えられます。謙虚に学び続ける姿勢こそが、真の理解と実践を支えているといえるのではないでしょうか。

原文・書き下し文(☑表示)

子入太廟、毎事問。大廟たいびょうりて、事毎ことごとう。
 
或曰。るひといわく。
孰謂鄹人之子知禮乎。すうひとが、れいると、たれうや。
入太廟、毎事問。大廟たいびょうりて、事毎ことごとう。
 
子聞之曰。これきていわく。
是禮也。れいなり。
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