03-16 『礼における競争は勝敗や力の優劣を目的としない』
現代語訳
お師匠様が言われました。「弓の競射は、的の皮を射抜くことを目的とするものではありません。競技者それぞれの人の力には差があるためであり、それは昔からの礼のあり方です。」
補注
- 弓の礼は、”射”と呼ばれ、当時の君子のたしなみのひとつとされていた。
現代への応用(☑表示)
現代社会では、成果や結果によって人を評価する場面が多くあります。しかし、その結果だけを見て優劣を判断してしまうと、それぞれが置かれている条件や背景の違いが見落とされてしまうことがあると考えられます。例えば、同じ成果を出しているように見えても、その裏には異なる努力や環境があり、一概に同じ基準で比較できるとは限りません。また、結果だけを過度に重視すると、本来大切にすべき過程や姿勢が軽視されてしまう危険もあります。孔子がここで示しているのは、単に的を射抜くかどうかという結果ではなく、それぞれの力に応じた在り方を尊重するという考え方です。競争の中にあっても、すべてを同じ尺度で測るのではなく、人それぞれの違いを踏まえたうえでの公正さが求められています。現代においても、他者と自分を単純に比較するのではなく、それぞれの状況や努力に目を向けることが重要だと考えられます。結果だけにとらわれるのではなく、その過程や姿勢を含めて物事を捉えることで、より公平で納得感のある評価や関係が生まれていくと考えられます。
原文・書き下し文(☑表示)
| 子曰。 | 子曰く。 |
| 射不主皮。 | 射は皮を主とせず。 |
| 爲力不同科、 | 力を為すに科を同じくせず、 |
| 古之道也。 | 古の道なり。 |
広告
【次へ】 03-17 『形式としての礼の継続には意味がある』