儒学のすすめ
論語 現代語訳大全

02-20 『上に立つ者の徳が民を動かす』

現代語訳

季康子きこうしが問われました。「民間の人々を、敬虔忠実けいけんちゅうじつに仕事に励むよう用いるには、どうしたものでしょうか?」

お師匠様が言われました。「威厳ある態度でのぞめば、民間の人々は敬うようになります。親に孝順こうじゅんで弱者に慈愛深くしていけば、民間の人々は忠実になります。善良な指導者を引き立てて、才能のない人々を教えていけば、民間の人々は仕事に励むようになります。」
登場人物
  • 季康子きこうし三桓氏さんかんし季孫氏きそんしの一人。の宰相。
  • お師匠様 … 孔子こうし本人。名はきゅう、字は仲尼ちゅうじ

現代への応用(☑表示)

この章は、「人を動かすために必要なリーダーの在り方」を示しています。

現代では、ルールや評価制度によって人を動かそうとする傾向があるものではないでしょうか。しかし孔子は、それ以前に「上に立つ者自身の態度や人格」が、人々の行動に大きく影響すると説いています。

まず、威厳ある態度で接することによって、軽んじられない関係が生まれます。ここでいう威厳とは、強圧的であることではなく、誠実さや節度を備えた姿勢だと考えられます。

次に、家庭や日常において孝や慈しみを実践している人は、周囲から信頼され、その結果として人々は忠実に応えようとすると考えられます。

さらに、優れた人物を正しく評価し、能力の足りない人を見捨てずに育てることで、全体の意欲が高まります。人は、正当に評価され、成長の機会が与えられる環境においてこそ、自発的に努力するようになるものではないでしょうか。

この章は、「人は命令ではなく、人によって動く」という原則を教えています。上に立つ者の在り方が整ってはじめて、周囲の人々の敬意・忠誠・意欲が引き出されると説いています。

原文・書き下し文(☑表示)

季康子問。季康子きこうしう。
使民敬忠以勸、たみをして敬忠けいちゅうにして、もっすすましむるには、
如之何。これ如何いかんせん。
 
子曰。いわく。
臨之、これのぞむに、
以莊、則敬。そうもってすれば、すなわけい
孝慈、則忠。孝慈こうじなれば、すなわちゅう
舉善而教不能、則勸。ぜんげてかざるをおしうれば、すなわすすむ。
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