儒学のすすめ
論語 現代語訳大全

02-09 『学びを実践する者』

現代語訳

お師匠様が言われました。「顔回がんかい:)かいは、私と一日中話していても、まるで愚かな者のように、少しも言い返すことがありません。しかしながら、引き下がった後の様子を見てみると、学んだことを十分に発揮しています。顔回がんかい:)かいは愚か者ではありません。」
登場人物
  • お師匠様 … 孔子こうし本人。名はきゅう、字は仲尼ちゅうじ
  • 顔回がんかい孔子こうしの弟子。孔門十哲こうもんじってつの一人。名はかい、字は子淵しえん顏淵がんえん

現代への応用(☑表示)

この章は、「本当に学んでいる人とはどのような人か」を示しています。

現代では、自分の意見をはっきり述べることや、積極的に発言することが評価されがちです。しかし、ここで評価されているのは、言葉の多さではなく、「学んだことを実際に活かしているかどうか」です。

顔回は、その場では多くを語らず、一見すると理解していないようにも見えます。しかし実際には、教えをしっかりと受け止め、自分の中で咀嚼し、行動として表しています。孔子が高く評価しているのは、この「静かな実践力」です。

これは現代の学びにも通じると考えられます。たとえば、知識を得たときに、それを人に説明することや発信することばかりに意識が向くと、実際の行動がおろそかになることがあります。しかし、本当に重要なのは、学んだことが自分の行動や習慣に反映されているかどうかではないでしょうか。

この章は、「理解しているかどうかは、言葉ではなく行動に表れる」ということを教えています。多くを語る前に、まず実践する。この姿勢こそが、現代においても本当に学びを深める道だといえるのではないでしょうか。

原文・書き下し文(☑表示)

子曰。いわく。
吾與回言終日、われかいうこと終日しゅうじつ
不違如愚。たがわざることなるがごとし。
退而省其私、退しりぞきてわたくしかえりみれば、
亦足以發。もっはっするにる。
回也不愚。かいならず。
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