01-09 『死や先祖を丁寧に扱う社会は、人々の心が安定し、道徳が自然と高まる』
現代語訳
曾子が言われました。「人の死を丁寧に見送り、先祖や先人を大切に思い続けるならば、民間の人々の徳は自然と厚くなっていきます。」
登場人物
- 曾子 … 孔子の弟子。名は参、字は子與。
現代への応用(☑表示)
この章は、社会の道徳がどのように育まれるかを示しています。「人の死を丁寧に見送り、先祖や先人を大切に思い続けるならば、民間の人々の徳は自然と厚くなっていきます」とあるように、人が過去の人々や見えない存在に対してどのような態度を取るかが、その社会の倫理観を形作ると考えられます。しかし現代日本では、家族の形や社会制度の変化により、家墓を持たない、あるいは墓じまいを選ぶ人も増えています。こうした変化は、必ずしもこの章の教えに反するものではありません。なぜなら、ここで重視されているのは墓という形式そのものではなく、「人の死を丁寧に見送り、先祖や先人を大切に思い続ける」心の在り方だからであるからです。たとえ家墓という形を取らなくても、故人を大切に送り、折に触れて思い出し、その生き方に学ぼうとする姿勢があれば、故人を偲ぶ精神は保たれます。逆に、形式だけが残り、心が伴わなければ、本来の意味は失われてしまうでしょう。重要なのは、家墓を持つ持たないの是非ではなく、いずれにしても自分がどのように過去とつながり、どのように人を見送るかという態度ではないでしょうか。このような意識を持つことで、人は他者の人生を軽んじなくなり、自分の行動にも自然と責任を持つようになります。その結果として、「民間の人々の徳は自然と厚くなっていきます」とあるように、社会全体の倫理観もまた、静かに高まっていくものと考えられます。
原文・書き下し文(☑表示)
| 曾子曰。 | 曾子曰く。 |
| 愼終追遠、 | 終わりを慎しみ、遠きを追えば、 |
| 民徳歸厚矣。 | 民の徳厚きに帰せん。 |
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