儒学のすすめ
論語 現代語訳大全

04-01 『仁を基準に生きなければ、本当の知恵は得られない』

現代語訳

お師匠様が言われました。「仁のある場所に身を置くことこそ、すぐれた在り方です。自分で選びながら仁のあるところに身を置かないようでは、どうして本当の知恵を得られましょうか。」

現代への応用(☑表示)

現代社会においても、人は「どのような環境に身を置くか」によって、その価値観や判断力が大きく左右されます。仕事、友人関係、情報環境(SNSやメディア)など、自分が日常的に接するものは、知らず知らずのうちに自分の思考の基準となっていくものではないでしょうか。

もし、利己的な考えや短期的な利益ばかりを重視する環境に身を置けば、それが当たり前となり、本来大切にすべき「仁」の心(思いやり・誠実さ・人を大切にする姿勢)が見えにくくなると考えられます。その結果、物事の本質を見抜く「本当の知恵」を養うことが難しくなるでしょう。

反対に、誠実さや他者への配慮を重んじる人々や環境の中に身を置けば、自分自身も自然とその影響を受け、判断の軸が整っていくと考えられます。その積み重ねが、長期的に見て揺るぎない知恵や信頼につながるのではないでしょうか。つまり孔子は、「正しい知恵を得たいのであれば、まず自分が身を置く環境を慎重に選びなさい」と説いているのです。能力や知識を増やす前に、「どこに身を置くか」を見直すことが、人生の質を高める第一歩となることを示しています。

原文・書き下し文(☑表示)

子曰。いわく。
里仁爲美。じんなるはす。
擇不處仁、えらんでじんらずんば、
焉得知。いずくんぞなるをん。
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