儒学のすすめ
論語 現代語訳大全

03-19 『上下関係において双方に道徳規範がある』

現代語訳

の君主である定公ていこうが問われました。「君主が臣下を使い、臣下が君主に仕えることは、どのような関係であるべきでしょうか?」

孔子こうしは応じて言われました。「君主が臣下を使うことは、礼をもって用い、臣下が君主へ仕えることは、誠実をもって仕えるべきことです。」
登場人物
  • 定公ていこうの24代王。
  • 孔子こうし孔子こうし本人。名はきゅう、字は仲尼ちゅうじ

現代への応用(☑表示)

現代社会においても、上司と部下、あるいは組織と個人といった関係は、さまざまな場面で見られます。しかし、その関係がうまく機能するかどうかは、単に権限や役割が定められているかどうかだけでは決まりません。

例えば、上に立つ者が立場の力だけで人を動かそうとすれば、そこには不満や不信が生まれやすくなります。一方で、下にいる者が誠実さを欠き、与えられた役割を軽視すれば、組織全体の信頼は損なわれてしまいます。どちらか一方だけが正しくあっても、関係は長く続かないものではないでしょうか。

孔子がここで示しているのは、上に立つ者は礼をもって人を扱い、下にいる者は誠実さをもって応えるという、相互に支え合う関係のあり方です。それは単なる役割分担ではなく、互いの行為が相手の在り方を引き出すような関係でもあります。

現代においても、立場の違いに関わらず、それぞれが自らの責任を果たすことが重要です。上の立場にある者は相手を尊重する姿勢を忘れず、下の立場にある者は与えられた役割に誠実に向き合う。そのような相互の姿勢があってこそ、信頼に基づいた健全な関係が築かれていくと考えられます。

原文・書き下し文(☑表示)

定公問。定公ていこうう。
君使臣、きみしん使つかい、
臣事君、しんきみつかうるには、
如之何。これ如何いかんせん。
 
孔子對曰。孔子こうしこたえていわく、
君使臣以禮。きみしん使つかうにれいもってし、しん
臣事君以忠。きみつかうるにちゅうもってす。
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